顎関節症について

顎関節症の原因はかみ合わせにあるのではとはじめに考えたのが1930年代のアメリカの耳鼻科医であるコステンといわれています。また、かみ合わせの悪さによって顎関節やそれを支える筋肉に負担がかかり顎関節症を発症すると考えられてきました。

かみ合わせが原因であごの関節に症状が出る症候をコステン症候群といい、治療のためにコルクで製作したかみ合わせを調整するもの(歯と歯の間にはさむもの:「スプリント」といいます)を世界で最初に作ったのもコステンです。

「口を開けづらくなった」「口を開けたり、左右に動かすとカックンと音がする」「頭痛・肩こりがつらい」などの症状は顎関節症かもしれません。原因として、親知らずが以前よりでてきた場合や、過去に施した歯の詰め物や被せ物が原因の場合もあります。

下あごの親知らずが原因で発症した顎関節症患者さんのレントゲン写真

下あごの親知らずが原因で発症した顎関節症患者さんのレントゲン写真

かみ合わせを診査してます

かみ合わせを診査してます

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咬合器を使うと裏からも かみ合わせを診査できます

顎関節症の3大症状とは下記の通りです。

1.咀嚼筋やあごの関節付近の痛み

2.あごの関節から「ガクッ」や「カクン」といった音

3.あごの動きの可動制限および左右のあごの動きの非対称(非協調)

どちらにしても今現在のかみ合わせの状態を精密に記録し、あごの動きを再現できるよう咬合器というかみ合わせを診査・分析できる機器を用いて精査・診断することをおすすめします。

なお、これらの検査は健康保険がききません。原因を特定し正しい診断のもと対症療法でなく原因療法を希望する方のみとなります。

かみ合わせを診査・分析できる機器かみ合わせを診査・分析できる機器

当院では堅牢なKavo社のプロター咬合器を使い正確な歯列模型と咬み合わせの記録をもとに調べ、さらにKavo社Arcus Digma2を用いてあごの動きの3次元診査をデジタル化して診断しています。(咬み合わせの検査は痛みを伴うものではありませんのでご安心ください)

顎関節症に対する当院のアプローチ法

歯医者さんならかみ合わせの専門家なのだからわかるんだろう。話を聞いてもらえば、具合の悪いところを削って治せるのだろうというのは誰もが思うことかもしれません。

しかしながら、学生時代に咬みあわせを学問として教わったことがないというのは私だけではないでしょう。その証拠に国立大学であろうと私立大学であろうと日本の歯学部教育に「咬合学(こうごうがく)」と いう授業はないのです。

私の師匠によれば「咬みあわせを教えられる先生が大学にはいない」と常々言ってます。ですから、かみ合わせの不調和に起因する顎関節症や頭痛・めまい・耳鳴り・首肩の痛みや張り・腰痛などの身体の変調に歯科医自身が対応できずその結果、多くの国民が悩 まされるのではないでしょうか。 (前記症状のすべてが、かみ合わせが原因というわけではありません)

当院では顎関節症治療における日本の第一人者である元日本歯科大学教授稲葉 繁先生のもと数百時間の講義実習を受けてきました。

まずは正確な診断機器を使い現状の診査を行い精査診断することをお勧めします。ご自身のお口の歯型を採り、あごの動きを再現可能な機器にてビジュアル化し皆様自身にわかっていただくことが治療のはじめの一歩だと考えています。さらに、MRIというレントゲン検査を行いあごの関節にある軟骨の位置や動き具合も診査するのが有効です。

歯科医師によっては顎関節症は、かみ合わせが原因ではなく日中の食いしばりやストレスが原因だと考える先生もいます。確かにそのようなケースもあるとは思います。大事なのは原因の切り分けです。かみ合わせをいじらず、調整しないで治癒すれば(保存療法)いいでしょうがすぐ再発しては意味がありません。マウスピースを使えばあごの関節への負担は一時的には軽減しますし、そのまま症状がでなければ良いかもしれません。また、状況によっては全体の歯列矯正が必要になる場合もあります。

顎関節症治療のながれ

カウンセリング

開口量 あごの動きの視診

あごの関節・筋肉の触診

姿勢の観察

レントゲン検査

必要に応じて、応急処置

スプリント製作

症例によっては簡単なかみ合わせ調整

家庭療法

理学療法

・健康保険が適用できる顎関節症の対応は検査のない対症療法です。

・原因治療を見据えた詳細なかみ合わせ診査やあごの動きの3次元診査は、健康保険が適用されないため自由診療となります。

自由診療で行う顎関節症治療

自由診療にて行う顎関節症治療は、Kavo社 Arcus Digma2を用いたあごの3次元診査、MRI検査を併用し、Kavo社プロター咬合器を用いて主に咬み合わせの精査・診断を行い治療に役立てます。