総入れ歯~前編~

総入れ歯の需要は私が開業した十数年前に比べるとずいぶんと減少しています。しかしながらまったくなくなったわけではなく、不幸にもいまでも歯が一本もないという方たちもいます。一般に上の入れ歯と下の入れ歯ではどちらが難しいかご存知ですか?実は圧倒的に下の入れ歯、総入れ歯が難しいのです。

舌は下あごについているのでしゃべったり、食事をしたりしたときに入れ歯をはずすように動いたりするため下の入れ歯の安定を損ないがちです。またあごの骨の吸収度合いも入れ歯の維持安定に大きく依存します。そしてもっとも大切なかみ合わせが合っていないと歯ぐきに傷がつき入れ歯をいれてられなくなります。

入れ歯が合わず苦労されてる患者さんは、大抵2組以上の総入れ歯を持っています。先日来院された方も2組もって来院されました。入れ歯は飾りではないので、合う入れ歯をつくってもらったら、大切にその一組を使うのがいいと思います。よくある話として以前つくってもらった入れ歯もスペアとして使えるようにして欲しいというご相談を受けますが、基本的にはお断りしています。また総入れ歯でなくすべてインプラントでまかなうといのもお断りしています。

当院で製作する義歯は型を採るところから始まりますが、その前にいまお使いの入れ歯をよく観察します。さらに患者さんの顔貌、お話をしたときの口もとの観察、あごの関節の動きや姿勢の確認など多くのチェック項目があります。お口の型採りは健康保険適用の入れ歯だと上下別々に採りますが、保険適用外だと

立体的にお口の中の型を特殊な器具を使ってかみ合わせの記録とともに一回で採ります。それには数回の通院が必要となります。決して入れ歯の素材だけが良いから保険が適用されないということではありません。しかし健康保険適用の入れ歯は製作方法も使用材料も国の医療制度の中で行うため個人個人に合

うよい入れ歯をしっかりつくるためにはおのずと限界があります。わかやりやすく言えば、既製品のスーツを買うか、身体を採寸しオーダーメイドのスーツをつくるかということに似ています。

続きは次回に・・。

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