性差医療・医学 6
前回までお話ししてきた中で高齢化がいろいろ
な疾患の原因リスクになるというのがお分かり
いただけたと思います。その影響には明らかな
性差があるのも事実です。また性ホルモンが守
ってくれると説明できるものもあれば説明でき
ないものもあります。 今回は要介護の原因の男
女差についてお伝えしたいと思います。
男性はいわゆる脳内出血・脳梗塞といった脳卒
中(脳血管疾患)、女性は認知症や骨折・転倒
の多さが統計上目立ちます。骨折の原因として
女性に多い骨粗鬆症は骨からカルシウムが溶け
出すのを防ぐエストロゲンの減少が影響してい
ます。また高齢者の低栄養傾向(BMI 20以下)
は女性に多く身体機能が衰える原因のひとつと
思われますので、しっかり食事が摂れるよう咀
嚼ができるようなお口の環境を整えるのが大切
だと思います。
日々診療していると女性は男性に比べ診断がつ
きにくい場面に遭遇することがあり、心理的要
因が関係していて診断がうまくつけられないと
思われることがあります。自分なりの診療経験
で言えば患者さんに寄り添うアプローチは男性
より女性の方が効果があるということを感じて
います。